上海ビジネスの「今」に触れる。 起業家・ビジネスパーソンとふれあいの夕餉
初日夜、現地ビジネスで活躍している3人の日本人ビジネスパーソンを招いてのレセプション・パーティーが催された。ゲストに加え、それぞれの会社から中国人のビジネスパートナーの方、社員の方が列席。にぎやかな会となった。
建築コンサルティング業を営む田中さんは、「工業デザインを勉強しているときに日本の製造業の成長が末期に達していること分かり、成長力も求めて中国への進出を考えた」ことが中国ビジネスに関わるきっかけ。2005年5月、念願の独立を果たしている。
インターネットコンサルティング会社の社長、覚田さんは、同社の顧客がインターネットで物販をしている企業が多いことから、日本は今後少子高齢化に伴い、一番消費活動を行う年代が少なくなることを危惧。顧客に新しく大きな市場を提供する必要を感じて中国へ進出した。本社が福岡のため、距離が近いということも利点だという。
続いて、話題は中国ビジネスの苦労話に。日本の政府機関、ジェトロで日系企業のサポートを担当する中澤さんによれば、「コンテンツビジネスを担当しているので、この分野ならではの苦労があります。中国は大きな市場ですし、続々と日本企業も参入していますが、海賊版やセンサーシップの問題など、課題もたくさんか抱えています」という。また、「中国人はある意味で「子供」。素直な一方で計算高い」と指摘し、中国で成功するために重要なことは、とにかく本人が本気になって取り組むことだと強調していた。生半可な気持ちでは、とても太刀打ちできない市場なのだ。
田中さんの場合、建築物のパース図を制作する仕事の中で、「中国人と日本人の美的センスの違い」に困ったことがあるとのこと。顧客の大半は日本企業なので、日本人にとって格好いいデザインを求めていても、全く違う感覚のものが出来上がってくることがあるのだという。
覚田さんは、中国人と日本人は、生活習慣や教育の違いがあるので、人を雇うだけで大変だと指摘。特に仕事に対する考え方が異なるそうで、日本では考えられないような細かいルール(私用電話は何分まで、というような)を従業員に明示しているそうだ。
中国でビジネスを成功させるための条件については、3人の意見が一致。それは「信頼できる中国人のビジネスパートナーを見つけること」。田中さん、覚田さん、店舗見学で訪問した吉田さん、ともに日本に詳しく、日本語が使えるパートナーがいる。「できれば、日中両国で学んだ経験や、日中の企業それぞれでは働いた経験がある人がいい。仕事の上で、絶対日中の文化の橋渡し役は必要」(覚田さん)というわけだ。
その後、ゲストも参加者のテーブルに交じってのフリートークに。真剣な眼差しで質問する人、笑いながら楽しそうに話す人。参加者はそれぞれのスタイルでパーティーを満喫しているようだった。(アントレ8月号臨時増刊)